平成26度 第46回関東ブロックPTA研究大会 さいたま市大会
日時:平成26年10月25日、26日
10月25日(土)10月26日(日)に第46回関東ブロックPTA研究大会さいたま大会に市P連20名で賑やかに行ってまいりました。
10月26日(日)
【全体会】
《鵜沢大会会長のお話》
社会の発達や少子高齢化、核家族化の進行などの社会環境の変化に伴い、家庭の教育力の低下、青少年非行の低年齢化、いじめ・不登校の問題など多くの課題が残されています。これらの様々な課題を解決していくには、学校だけでなく、PTA・地域社会やその他関係機関等すべての連携で対応していかないと解決は難しいように感じている。
《尾上日本PTA全国協議会会長のお話》
全国のすべての学校で「いじめ防止基本方針」が作成された。これを教育委員会や学校のものにするのではなく、保護者と地域全体に周知し、いじめ対策に取り組んでいただきたい。
【全体会記念講演】
「ココロとカラダに優しい歌薬」
さいたま市出身の沢田知可子さんによる トーク&ミニコンサート♪
沢田さんは、歌を子どものように思い、歌を創ってらっしゃる。た沢田さんの代表曲である「会いたい」は、悲しい時間を共有出来る歌薬だとおっしゃっていました。
コンサートの始めに、「時間旅行」自分を許しに行く旅に出ましょう。と話してくださり、素敵な歌を聴かせていただきました。
会場は、温かい雰囲気に包まれ、沢田さんの歌声に癒されて一時を過ごさせていただきました。
10月25日(土)
○第1分科会「地域連携」報告
報告者 市P連会長 堀住京子
【研究テーマ】
『絆』つながっていますか? 家庭・学校・地域をつなぐ親の役割
【講演】
たくましく しなやかな子どもたちを育むため 今大人が考えすべきこと
埼玉大学教育学部准教授 菊原 伸郎 氏
菊原先生は、先の読めない時代に、子どもたちがたくましさとしなやかさの二つを磨けたらいいなと言うお話から講演が始まった。
子どもたちに、大人が先回りをする指導をしてはいけない。また大人が子どもたちにする「期待」は、子どもの気持ちをコントロールしてしまう。過度な期待は、不幸の始まりである。
大人ができることは、精神的・経済的支援、子どもの静かな時間を確保してあげることと、大人が環境を調べていいと思うことは、子どもに任せてみるのが良い。そして子どもが挑戦している間は、大人が勝手に判断をしない。
たくましく、しなやかになることでワンランク上の生き方ができる。そのための方法を、菊原先生らしくスポーツに例えて教えてくださった。
① 自分の考え方、物の見方を客観視できるようになる。
② ミスや敗戦を謙虚に受け入れ、その上で解決策を探せる人になる。
③ 自分で考え、自分で決断ができる。その結果について自己責任がとれる。
④ 仲間に対する思いやりと礼節が身に付く。(自分が認められると相手のことも認めることができる。)
菊原先生が、お話なさる心地よく穏やかで優しい語り口調のなかにも、先生ご自身がサッカー選手としての経験から、力強さとしなやかさを感じる90分間の講演だった。
【実践発表】
地域親として活動する「成沢小おやじの会」
茨城県日立市成沢小学校PTA会長 今野 幸樹
子どもたち、保護者、学校、地域にとって、プラスになるであろうとの想いからおやじの会を立ち上げ、子どもたちの安心と安全を確保する為に、地域パトロールや着衣泳を実施している。また子どもたちに、夢や希望を育てるために、夜のプールや子どもたちがダンボールで思い思いの家を作り宿泊を体験できる企画は見事だと思った。
父親の教育参画の向上 清沢式学校応援団 〜「みんな我が子」が地域をつなぐ合い言葉〜
静岡県静岡市立清沢小学校PTA 清沢てんぐの会 会長 宮本 卓明
同会コーディネーター 尾崎 行雄
同小学校教頭 鈴木 健一
清沢小学校は全校児童27名の小規模校である。全家庭がPTAに入会し、「全員参加のPTA活動」の目標のもとに父親も母親も全ての保護者が参加して活動を盛り上げている。地域も学校への理解があり、協力を惜しまない。このように地域の子どもをみんなで育てる気運が息づいている。そのような環境のなかで、「できるときに、できることを、できる人が」を合い言葉に父親がもっと教育にかかわっていこうとした実践である。日頃から消防団組織に属する父親達の話題は子どもたちのことである。
「退屈している子どもたちに楽しみや学びの場を創ろう」PTAと始めたのが『若あゆ広場・清沢てんぐの会』の活動である。土曜日や日曜日、夏休みなどに年間20回以上の企画を立て、「主人公は子ども、実は親も楽しんじゃう!」活動ばかりである。子どもとの触れ合いこそが親のエネルギー源なのです。
保護者とPTAOB、先生方で構成される『若あゆ広場・清沢てんぐの会』は今年で10周年を迎える。実践発表で流れた映像は、子どもも大人も表情が生き生きとしていて輝いていた。活動事例は、ソバの種まきとソバ打ち体験、サツマイモの栽培、ホタル鑑賞、清沢神楽鑑賞の会、少年いかだまつり参加、通学合宿等々。自然環境に恵まれ、なおかつ歴史的伝統がある清沢だからこそ企画できる内容だと思う。活動内容を聞いただけでも、大人もワクワクしてくる。またなかでも、出勤前に行う「父親の読み聞かせ」に挑戦するお父さんたちは素敵な活動だと思った。静岡市内の各小中学校でも広がればいいなと感じる。
また、資源回収などのPTA行事のあとに、清沢てんぐの会がバーベキューを行っている。PTA活動とPTAOBの活動が上手に連携しているのも清沢式学校応援団なのだろう。『若あゆ広場・清沢てんぐの会』の取り組みは、大人も子どもも忙しく過ごすこの時代に、大人たちが子どもたちのために真剣に企画を練り、子どもたちと共にゆったりと充実した時間を持つことで、子どもに最高の思い出を作り、お互いが成長しあい、親子そして地域の絆が深めまることにつながっていると思う。
○第5分科会「人権」報告
報告者 市P連理事 新屋洵一
講 演
「障害者の権利に関する条約」と特別支援教育~本当に特別な教育なのか~を演題に
さいたま市立与野本町小学校校長張替氏の講演を拝聴しました。
まず人権とは、「人々が生存と自由を確保し、それぞれの幸福を追求する権利」、「人間が人間らしく生きる権利で、生まれながらに持つ権利」。そして、人権教育とは、「人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動」と定義づけ、さいたま市の学校教育推進の指針において人権教育のねらいは、学校の教育活動全体を通じて、人権意識の高揚を図り、人権の意義・内容や重要性について理解を深め、同和問題をはじめとする様々な人権問題を解決していこうとする幼児児童生徒を育成することである。」と説明。
次に、障害者と教育に関わる国内関係法令についての講義
平成19年 学校教育法の改正(特殊教育から特別支援教育へ)全ての学校において、障害のある幼児児童生徒の支援を充実していくことになった。
平成23年 障害者基本法改正 可能な限り障害のある子供たちと障害のない子供たちがともに教育を受けられる配慮をする。
平成24年 中教審「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」 キーワードは、多様な学び場、合理的配慮である。
平成25年 学校教育法施行令改正 障害のある子供たちの就学手続きについて、教育委員会は可能な限りその意向を尊重して、総合的な観点から就学先を決定する。
平成26年 障害者の権利に関する条約 批准
他の子供とのコミュニケーションが上手くとれない子供に対してどのような対応が必要か?この事案について張替氏は、愛媛大学吉松氏の言葉を引用「当事者に障害があると言うことではなく、関わる周りのものが、当事者の行動の意味を読み取れないことこそが、
障害なのだ。」とし、例えばいきなり殴ってきたなど当事者の行動には理由があるはずという認識をもって接する重要性、大切さを語られました。
また障害のある方への対応について、張替氏は、大切なのは同情ではなく、障害のある人々と一緒に仕事や勉強をしたりすることが当り前だと思うようになることが必要であると解説し、その中で家庭での教育、認識にも注意することが必要であることを付け加えました。
例えば「あの子は障害があってかわいそうなので、あなたが助けてあげるのよ」などの何気ない会話から同情が生まれることを、自覚しなければならないとした。
最後に公立学校における「合理的配慮」の不提供は法律違反になるとし、発達障害児などに対して、クールダウンの為の部屋を確保したりなどの「合理的配慮」は、学校や教員の「善意」ではなく「義務」であると、語られ講演は終了しました。
研究発表
「いじめから子どもを守ろう」 宇都宮市PTA連合会
宇都宮市PTA連合会は、「いじめは犯罪です!!」という強い表現とチェックリスト、相談窓口を掲載したリーフレットの企画・作成・配布の事項を、男性3人による寸劇を交えながらの発表でした。
平成23年の大津市中学生のいじめによる自殺を契機に作成が始まり、最近のいじめは発見し難いことを認識し、子どもの変化を発見するためのチェックリストを作成。「いじめている側」「いじめられている側」のチェックリスト12項目を作り、親にチェックさせるシステムでした。
宇都宮市PTA連合会は、このリーフレットで大切なのは、いじめは犯罪という周知広告だけではなく、親は子どもとのコミュニケーションにおいて、早く子どもの変化を察知する、そして、常に子どもの事を見守ることの大切さを認識させるリーフレットであるとの発表。
体 験
不自由さ体験ワークショップ ~疑似体験を通じて知ることの大切さ~
第5分科会運営委員会
第5分科会参加者全員による、約80歳の疑似体験。
参加者には軍手左右各2枚着用し、メガネ(レンズはセロハンテープで視界が悪い)着用し、色紙で折鶴作成、ペットボトルの蓋を開ける作業を実施。
体験を通じ、その状況のひとの事を「知ること」、「助け合うこと」の大切さを伝えるための体験学習でした。
○第6分科会「組織・運営」報告
報告者
・理事兼成人教育委員長 宮下 修一
・監査 芝原 裕明
与野本町コミュニティセンター・多目的ホール(大)で開催された第6分科会には、静岡市PTA連絡協議会から宮下と芝原の2人が参加しました。この第6分科会は、「組織・運営」に関する分科会で、今年は「『未来』輝いていますか?親の笑顔は子どもの未来 楽しくなければPTAじゃない!」がテーマです。
PTA中央区連合会の青葉章仁会長の開会の辞、鳥井義兼運営委員長の趣旨説明の後、2つの小学校PTAからの研究発表、さらにDJのレモンさんこと、山本シュウさんによる講演『大人も子どももみんなハッピーに!!~PTA爆談~』が行われました。以下、順にご紹介します。
〔研究発表]
研究発表の1つ目は、伊奈町立小針北小学校おやじの会の板場賢二さん(PTA会長)と齋藤政利さん(元PTA会長)による『地域、行政と取り組む防災キャンプ』と題する発表です。
伊奈町立小針北小学校は、平成18年に開講した児童数1,300名の大規模校です。同校では、『できるときにできることを』という活動目標の下、「おやじの会」が活発な活動を行っています。
その「おやじの会」やPTAが中心となり、町内の各団体や行政と一体となって毎年夏に行っているのが、「防災キャンプ」です。その紹介の中で特に印象に残ったのは、バケツリレーです。最初は説明せずに、子どもたちに自由にやらせてみるのだそうです。そうすると、当然並び方はバラバラになって水がこぼれて効率が悪くなります。その後に、背の低い順に並んで順番に運ぶと水はこぼれないんだよと教えて、実際にやってもらうことによって、子どもたちの理解を深めるのだそうです。また、これまでは大人の考えたスケジュールだけでやっていたので双方に「やらせた感」・「やらされた感」があったそうなのですが、今年から掲示板を利用して、そこに何をする必要があるかを掲示し、それを自分で確認させることを通して、子どもたちに自分で考えて行動させるという仕組みを取り入れて改善を図っているとのことでした。
研究発表の2つ目は、市川市立若宮小学校PTA会長の湯淺国匡さんによる『笑顔輝く若宮~幸せ色の笑顔の花を咲かせましょう』と題する発表です。
若宮小学校は、児童数575名の中規模校です。同校では、PTAの改革を行い、「ボランティア精神のもとに、強制力を伴わない活動」を行うことにしたそうです。最初はどうなるか不安だったとのことでしたが、結果的にはかなりの数の保護者がボランティアとして参加し、学級学年代表、安全管理委員会、読み語り「くりとぐらの会」、ふれあいまつり実行委員会、ベルマーク係の会、広報ボランティア、親の会(運動会の片付け・防災宿泊体験など)、花ボランティア、図書館ボランティア、地域との絆をつくるコミュニティサポート委員会など、自分ができることをするという形でボランティア活動をお願いしているとのことでした。
湯浅さんからは、保護者・先生・PTAのネットワークをどのように作るかということを考えたときに、知っている人に対して厚い信頼を寄せるよりも、知らない人に対して薄い信頼を寄せた方がネットワークに対する影響は大きくなるのではないかというお話もありました。もっとも、やれる人がやれる時に集まるという方式では人が集まるかどうかいう心配はやはりあるとのことでしたが、沖縄のことわざである「いちゃりばちょーでー(一度会ったらみな兄弟)」の精神で、そして保護者のお母さん方の「肝っ玉かあさん」精神でやっているそうです。
これからのPTA活動のあり方を考えるうえでも、非常に貴重なお話でした。
[講演]
休憩を挟んで、いよいよ真打ち登場!テレビ番組にもしばしば出演されているレモンさん。私自身は恥ずかしながら存じ上げなかったのですが、会場の後ろからいきなりレモンのかぶり物をして登場してきた姿を見て、度肝を抜かれました。なんと、レモンさんはこの格好で5年間PTA会長を務められたとか!
軽快なトークの前に、会場内はあっという間に笑いの渦に巻き込まれました。しかし、話の内容はものすごく真面目なPTAに関する話。私たち昭和を生きてきた大人には、次のようなICチップ(レモンさんは「愛しいチップ」といいます)が体内に埋め込まれているのだそうです。「①すぐ感情的になる/②人の話を聴けない/③絶対自分が正しい/④極端/⑤上から目線/⑥すぐダメ出しする/⑦すぐ悪者を作る/⑧すぐ戦おうとする/⑨相対評価をする/⑩男尊女卑」。当てはまることがいくつもあって、ハッとさせられました。
そうした大人が子どもたちと接するには、どうしたらよいのでしょうか?例えば、子どもたちの心に言葉が響くためには、「心のパスワード」が必要なのだそうです。それが入力されるためには、1)聴く:相手の心を理解するために相手の話を聴く/2)確認:聴いたことを確認する/3)同調:共感ではなく同調することを通して、子どものことを「理解」しなければならないという言葉には、深くうなずかされました。
この分科会のテーマは「組織・運営」。とかくPTA 組織への参加や活動に疑義を唱える人たちへの説得に頭を悩ます昨今ですが、レモンさん(山本シュウさん)は、PTAには、5つの得することがあるのだと唱えて講演を結びました。レモンさんのいうPTAの5つの得とは、1.情報が入ってくる、2.会話が変わる、3.友達ができる、4.感動する、5.愛が伝わること、なのだそうです。関わることの大切さ、こどもたちとの関係、そしてこどもを通しておとなを成長させるPTAの本質的な意義について大いに学び、考えさせられる盛りだくさんの内容で、あっという間に時間が過ぎました。レモンさんこと、山本シュウさんの活動の様子については、「レモンさん.net」(
http://www.yamamotoshoo.com/lemon/)をご覧下さい!